夕子はふと、夜中の暗闇に、自分の意識が浮かんでいるのを見た。「明日が来るのが嫌だ。朝日よ、昇るな」。夕子はそれだけを願い、布団の中で猫のように丸くなる。とにかく眠りに落ちたい一心で目をつぶる。そのとき、がしゃん!と大きな音を立ててポストの受け口が閉まった。「こんな時間に何?」。恐怖と好奇心がせめぎ合うが、結局、好奇心が勝った。玄関を出て、ポストの中を覗く。そこには白い封筒が入っていた。開けてみると、中には赤い花びら。そして便箋にこう書かれていた。『赤い花は好きですか?』。これって、いったい……!?
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