子供の頃、私にだけ見えていた『空想世界』の記憶――。10年前、父は海外赴任、母は体が弱く寝たきりで、私は洋館に閉じ込められたようなものだった。監視するばあやが昼寝をしているときだけ、私はお気に入りの色鉛筆で日記帳に絵を描く。夢の世界で、私は無敵のお姫様に変身する。空想の中でなら、自由も友達も幸せも、なんでもほしいものが手に入ったから!……しかしいつしか、現実の中で日記の存在を忘れてしまった。再び思い出したのは17歳の夏。私は、幼い頃に夢中になった空想日記をめくり、記憶の蓋を開けていく。そして……!
この作品の読者にオススメ