貴方は劇場の入り口で、台本を手に持ち、ぽつんと立っている。すると、こう呼びかける声がした。「この台本の主人公は、或るひとりの少年。彼は、誰にでもある《心の弱さ》を隠しながら生きている」と。舞台のスポットライトの中心では、制服を着た少年が何か喋っている。広い客席には、ひとりだけ舞台を眺めている子がいる。──声は続く。「君は、そんな少年の舞台に迷い込んでしまった迷い人。君は自由だが自由ではない。この場所にいる限り、手に持つ台本通りにしか進めない」。そう言ったきり声は聞こえない。さあ、貴方はどうする?
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